第3.9世代携帯電話は正式名称 第3.9世代移動通信システム (3.9G) と呼び、第3世代と同じ周波数帯域の電波を使用し、第4世代移動体通信システムの通信技術を導入した通信規格です。
「限りなく第4世代に近い」という意味で 第3.9世代 と呼ばれています。
下り 100Mbps 以上、上り 50Mbps 以上の通信速度を目標にしており、時速 240 キロメートルの高速移動体での通信にも対応します。
第3.9世代移動通信システムには2つの規格があります。LTE と UMB です。
LTE は Long Term Evolution(ロング・ターム・エボリューション)の略です。
UMB は Ultra Mobile Broadband(ウルトラ・モバイル・ブロードバンド)の略です。
第3世代移動体通信システムの規格に W-CDMA と cdma2000 がありますが、LTE は W-CDMA の後継規格です。UMB は cdma2000 の後継規格です。
それぞれの規格の世代関係は以下のようになります。
世代 | W-CDMA系 | cdma2000系 |
---|---|---|
第3世代 | W-CDMA | cdma2000 |
第3.5世代 | HSPA,HSPA+,DC-HSDPA | CDMA2000 1xEV-DO Rev.A |
第3.9世代 | LTE | UMB |
UMB は、KDDI が第3世代と第3.5世代で採用してきた cdma2000系 の規格です。
第3.9世代では UMB を KDDI が採用しそうに見えますが、KDDI は第3.9世代においては LTE を採用する方針を発表しました。
よって、日本で UMB を採用する移動体通信事業者は存在しません。
日本の移動体通信事業者4社(NTTドコモ、ソフトバンクモバイル、KDDI、イーモバイル)は、全て2010年から2012年までに LTE を導入する予定を発表しています。
LTE(Long Term Evolution) は、第3.5世代よりも広い周波数帯域幅を使用し、第4世代の最新技術を導入して高速通信を実現する通信規格です。
帯域幅にはいくつか種類があり、5MHz幅,10MHz幅,15MHz幅,20MHz幅 での利用が考えられる。移動体通信事業者は当初は5MHz幅からサービスを開始し、その後より広い帯域幅へ拡張して高速化を図ることが考えられます。
帯域幅ごとの下り通信速度は以下のようになります。
帯域幅 | 推定通信速度 (2x2 MIMO) |
推定通信速度 (4x4 MIMO) |
---|---|---|
5MHz幅 | 40.8Mbps | 81.6Mbps |
10MHz幅 | 81.6Mbps | 163.2Mbps |
15MHz幅 | 122.4Mbps | 244.8Mbps |
20MHz幅 | 163.2Mbps | 326.4Mbps |
注意点として、LTE の通信速度は帯域幅だけで決まるものではなく、利用する技術の内容によって変化します。(たとえばアンテナの数など)
上記の数字は、あくまで「目安」だと思ってください。(「2x2 MIMO, 4x4 MIMO」の意味については後述します。今は聞き流してください。)
LTE のサービス開始当初は、下り 40Mbps程度 の通信速度になることが予想されます。これは、第3.5世代の DC-HSDPA と同じぐらいの通信速度です。
移動体通信事業者4社のLTE導入予定は以下の様になっています。
会社名 | LTE 導入時期 |
---|---|
NTTドコモ | 2010年12月 |
KDDI | 2012年12月 |
ソフトバンクモバイル | 2011年以降になる。現在未定。 |
イーモバイル | 2011年前半 |
LTE にも欠点があります。
LTE は HSPA と互換性が無く、LTE端末はHSPA基地局と通信できません。HSPA端末もLTE基地局と通信できません。
よって、HSPA や DC-HSDPA の人口カバー率と LTE の人口カバー率は同じにはなりません。
現在 HSPA を利用している人は、新たにLTE端末を購入しなければLTEを利用できません。 「最新技術だからなんでも優れている」というわけではありません。
以上、携帯電話回線の高速化は、今のところ止まるところを知らない状況です。「高速化するまで待とう!」などと考えていたらいつまでも利用できません。
人口カバー率と通信速度が、必要な水準に到達したら、見切りを付けて利用を開始するべきでしょう。