わかりやすいモバイルブロードバンドモバイル通信入門携帯電話回線系モバイルブロードバンド

携帯電話回線モバイルブロードバンド

携帯電話回線モバイルブロードバンドとは

 音声通話用携帯電話回線をコンピュータによるデータ通信用に改造(拡張)したものが携帯電話回線モバイルブロードバンド(ワイヤレスブロードバンド)です。
 音声通信用回線を拡張した仕様の為、途中で通信が途切れることの無いように設計されており、常に安定した通信品質が確保されているのが特徴です。
 逆に急激に大量の情報を伝送した場合でも、安定性が優先されるので通信速度が向上するようなことはありません。
 データ通信の場合、数秒ぐらいならば通信が断線しても繋がるときに高速通信できれば快適に利用できるものですが、携帯電話回線は音声通信回線とデータ通信回線を併用しているのでデータ通信に特化できません。(この問題は第3.5世代の最新型、及び第3.9世代では解消されます。詳しくは後述します。)
 必ずしもコンピュータによるデータ通信に最適なモバイルブロードバンドとは言えないかも知れません。
 しかし、「回線が切断しない」「どこでも繋がる」ことを優先する方には最適なモバイルブロードバンドかも知れません。

ダイヤルアップが必要

 携帯電話回線を使用するため、ネットワークに接続するたびにダイヤルアップ接続が必要になります。この点は一昔前のアナログインターネット接続の時に使用したモデムと同じです。(しかし、通信速度は比較にならないほど速いです。)
 携帯電話回線ではデータ通信カードも「モデム」としてOSに認識されています。

提供業者

 日本の携帯電話回線モバイルブロードバンドの提供業者は以下の4社です。

携帯電話回線モバイルブロードバンドの提供業者

会社名 サービス名
イーモバイル EMモバイルブロードバンド
NTTドコモ FOMAハイスピード
KDDI PacketWINシングル
ソフトバンクモバイル 3Gハイスピード


日本全国どこでも繋がる

 携帯電話回線を利用する為、各社とも人口カバー率は90%を超えています。(ソフトバンクモバイルは70%超です)ほとんど日本全国どこでもモバイルブロードバンド回線に接続できることになります。

マクロセル

 一つの基地局が端末と通信できる範囲のことを セル 又は セル半径 と言います。ようするに電波の届く範囲のことです。
 携帯電話回線の特徴としてセル半径が大きいということがあります。通常、半径数百メートルから十数キロメートルの巨大なセルを持ちます。このような巨大なセルのことを マクロセル と呼びます。

 マクロセルの長所としては少数の基地局で広い範囲をカバーできるということがあります。また、移動時のハンドオーバー(基地局の変更)が発生しにくい、又は発生回数が少ないということがあります。携帯電話はPHS同様、移動体通信回線としての歴史が長いので通信遅延や断線の無いスムーズなハンドオーバーを実現するよう設計されていますが、完全にハンドオーバー時の通信遅延や一時的な断線をなくすのは難しいことです。ハンドオーバーそのものが少ない回数で済むというのは一つの長所でしょう。

 逆に短所としては、基地局と端末の通信最大距離が遠くなるため、高出力の電波を必要とすることです。高出力の電波を使用するということは、ノートパソコンなどの端末側の消費電力が大きくなります。(もちろん基地局側も大きくなります)ノートパソコンなどのバッテリーの持続時間にも影響するでしょう。
 また、高出力の電波は病院などの精密機械にも誤作動などの影響を及ぼす可能性があります。体内にペースメーカーを埋め込んでいる方々にも影響を及ぼす可能性も一部で指摘されています。(「携帯電話の電波はペースメーカーに影響を及ぼさない」という指摘もあります。詳しくは後述します。)
 もう一つの短所は、一つの基地局に接続するユーザー数が必然的に多くなることです。基地局の性能にもよりますが、限られた電波資源を複数ユーザーで共有しているわけですから、ユーザー数がある程度以上多くなると通信速度が遅くなる原因になります。

通信価格

 通信価格は4社とも、月額に基本料金と上限金額を設定する価格体系になっています。
 イーモバイルは、基本料金900円にダウンロードしたデータのバイト数分通信料が上乗せされていく従量制になっています。ただし、バイト数14Mバイトを超えると上限金額4980円が適用されて、それ以上どんなに通信しても月額4980円以上の通信料金が掛かることはありません。
 14Mバイト程度のファイルは、インターネットを1時間も利用していれば、すぐに超えてしまいます。大多数のユーザーは毎月上限金額の4980円を支払うことになります。
 つまり、イーモバイルのモバイルブロードバンドは、実質「月額4980円の定額制」と同じことだと言えます。
 (イーモバイルの料金体系は複雑です。上記の価格は HSPA の価格です。HSPA+ は 1000円 ほど割高になります。また、イーモバイルには定額制の料金体系も存在します。HSPAの場合 4580円、 HSPA+ の場合 5580円 になります。)
 他の3社もイーモバイルと同様の料金体系となっています。実質は「上限金額の定額制だ」とお考えください。
 ソフトバンクモバイルの通信料金の月額は、基本料金700円、上限金額 4679円になっています。
 NTTドコモの通信料金の月額は、基本料金1000円、上限金額 5985円になっています。
 KDDIの通信料金の月額は、基本料金2100円、上限金額 5700円になっています。
 各社とも月額5千円代になっており価格にほとんど差がありません

通信速度

 携帯電話回線モバイルブロードバンドはADSLのように、下り(ダウンロード)と上り(アップロード)の通信速度が異なります。通常下りの方が高速になっています。
 現在(2010年12月8日時点)の通信速度は、イーモバイル の EMモバイルブロードバンド が下り最大 42Mbps、上り最大 5.8Mbps で最も速いです。
 次いで NTTドコモ(Xi-クロッシィ)の下り最大 37.5Mbps、上り最大 12.5Mbps が続きます。
 3番目が KDDI の WIN HIGH SPEED で、下り最大 9.2Mbps、上り最大 5.5Mbps です。
 今のところ最も遅いのが、ソフトバンクモバイル(3Gハイスピード)の下り最大 7.2Mbps、上り最大 1.4Mbps です。(上りは一番遅い)

高速化する携帯電話回線

 しかし、この速度の順位は2010年から2012年にかけて、大きく変動することが予想されます。携帯電話モバイルブロードバンド提供業者は各社ともに、最新技術の導入による通信速度の高速化を予定しており2012年までに下り最大 40Mbps から 75Mbps の高速無線ブロードバンドサービスを提供する予定が、発表されています。
 イーモバイルは2010年12月には下り最大40Mbpsレベルのサービスを開始しました。
 ソフトバンクモバイルは2011年2月に、同じく下り最大40Mbpsレベルのサービス開始を発表しています。
 NTTドコモは2010年12月24日に、技術的には下り最大326Mbpsにも達する通信規格の導入を予定しています。
 同じくKDDIもNTTドコモと同様の通信規格の導入を2012年12月に予定しています。
 2010年から2012年の期間は、次々と高速の携帯電話回線モバイルブロードバンドが登場する時期になるのです。

障害物に強い

 携帯電話回線モバイルブロードバンドの長所として、障害物に比較的強いという特徴があります。
 電波というものは、周波数が低く波長が長くなるほど「音」に似た性質になり、周波数が高く波長が短くなるほど「光」に似た性質になります。
 「音」に似た性質とは、障害物の後ろに回り込んだり障害物を貫通する性質のことです。
 「光」に似た性質とは、障害物に反射したり障害物の後ろに回り込まずに直進する性質のことです。
 携帯電話回線モバイルブロードバンドは他のモバイルブロードバンドに比べて、周波数が低く波長が長い電波を使用します。
 ソフトバンクモバイル、NTTドコモ、KDDIが主に使用している電波帯域は 1.5GHz帯 です。
 イーモバイルは 1.7GHz帯 です。
 参考までにPHSは1.9GHz帯、XGPは2.5GHz帯、モバイルWiMAXは2.5GHz帯です。
 このため、携帯電話回線モバイルブロードバンドは、壁や屋根などの障害物を貫通して屋内でも比較的安定した通信品質が維持できます。
 また、マクロセルの効用で電波出力が大きいのも障害物に強い要因です。

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EMモバイルブロードバンド

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